まーりたんが物心ついたばかりの頃

お宅がありまして


親にそう言い残しては、しょっちゅうお邪魔し

山中のオバチャンは品があって、おばあちゃんと呼ぶにはちょっと早い 初老の
ご婦人。 とうの昔に亡くなられて、今はリノベしたお宅に別の方が暮らされて
いますが、当時は 息を弾ませてピンポンを鳴らすと


いつも直ぐにドアを開け、にっこりと笑顔で迎え入れてくれました

暗い廊下を歩いていくと、庭からの陽光が射し込む右側奥に 小さなホール風の
部屋があり、床の間みたいな場所には キリスト様の像がありました。 大きさは
縦横仏壇ほどで、チビッコまーりたんには、自分と同じ位の背丈に感じました

そう、まーりたんが大好きだった山中のオバチャンは、キリスト教の信者さん


昨年末レポをお届けした ペトロ岐部カスイ神父記念公園に隣接する史料館
国見ふるさと展示館内、ペトロ岐部神父縁の品々が並ぶ窓辺の写真です。
山中のオバチャン宅のイエス様が居る部屋も、ちょうどこんな具合にキリスト像
周辺の装飾品が太陽光に透けてキラキラ輝き


おやつ

手を合わせます

説く事は勿論、イエス様への正しいお祈りの仕方を教える事すら一切しない方で、
微かに記憶に残っているのは、いつも穏やかに、ワンパクお邪魔虫まーりたんを
優しく見つめてくれていた笑顔だけ

どうでもいいですよ的なワタクシ事、ついでにもうひとつ


まーりたんの本名は、7つ年上の姉の名と語呂が合うように父が考え、名付けて
くれたものですが、その漢字を考えて下さったのは山中のオバチャンだという事を
随分後になって聞かされました

再び大分へ戻った時には当時の事はすっかり忘却の彼方、というかお年頃?で
興味は他の事に移ってしまっていて

そのくせ今頃になって、ふと思い出してみたり・・・、身勝手なものですね。
郷土史探訪は気紛れに、遥か遠い記憶の淵にある想い出も探してくれる様です。
こんな理由で今回は小倉探訪記をお休みして、年をまたいでしまった昨年末の
キリシタン十色・ペトロ岐部神父記念公園の続編を綴らせて頂きます


国見ふるさと展示館は幕末期、下岐部地区の総代庄屋を務めていた
有永三郎氏の母屋、離れ、蔵、庭園、馬屋から成る豪放なお屋敷を保存し、
郷土の先哲・ペトロ岐部カスイ神父に関する貴重な資料をはじめ、国東の
六郷満山文化や民俗文化等を紹介する史料館として一般に公開しています。


イエズス会画派の手によって描かれたとされる四都図 世界図屏風( 複製 )

下のガラスケースには、宣教師ルイス・フロイスが、ペトロ岐部カスイ司祭に
ついて記録した 日本史の一節


先週金曜にテレビ朝日でスタートしたコミック原作のドラマ・信長のシェフでは、
ダニエル・カールさんがルイス・フロイス役を演じられていて、和みました


宣教師の中には野心を持っていたり、ミッションを負わされていた方も居た様
ですが、ルイス・フロイスさんは心から日本を愛し、熱心に研究された方の様

それにしても信長さんに気に入られ、秀吉さんとも面識があり、大友宗麟公が
洗礼を受けた天正6( 1578 )年には豊後の布教長として大分県に居て、
宗麟公の記録も残しているルイス・フロイスさん、凄すぎです



臼杵ノビシャド( 修練所 )を開校し、教鞭も執ったヴァリニャーノ神父から
執筆を命じられ、日本史を著すルイス・フロイスの肖像も描かれています。
( タイトル・日本報告書 )

務めていた、と臼杵市観光協会・南蛮文化研究会発行の資料にありました。
こちらは国見ふるさと展示館内の資料です

ポルトガル人イエズス会宣教師 アントニオ・フランシスコ・カルディム著
日本の精華 1646( 正保3 )年 ローマ刊

日本人殉教者の事績が収録されています。 ペトロ岐部神父については
肖像の他、インドから聖地エルサレムへの巡礼、ローマ到着、イエズス会
入会、帰国までの行程、長崎における司祭としての活動、江戸での拷問、
殉教についてが綴られているそうです。 国見町の所蔵です

ペトロ岐部神父についての詳細は、昨年末の記事 コチラをご覧ください

見事な梁が目を引く母屋の二階はギャラリースペースで、日展の審査員も
勤めた洋画家・江藤哲画伯ほか、国見町出身の陶・工芸家の作品を展示。

国見ふるさと展示館の入館料は、大人200円です。
所在地は、大分県国東市 国見町岐部536
開館時間は、午前9時~午後5時 ( 電話・FAX 0978-83-0321 )
受付の方が、順路と展示物について簡単に説明して下さった後は自由見学。
まるで老舗高級旅館を仮寓とする明治の文豪にでもなった気分で、のんびり
悠々と、築140年のお屋敷( 史料館 )内の散策&見学が愉しめます

茶室がある離れの縁側で、立派なお庭を眺め寛ぐのはウチのダンナさん。

冒頭のまーりたんみたく、記憶の淵へ心の旅に出掛けているかもしれないので
このままそっとしておこうっと



※本文中の下線付き部分は、当ブログ内関連記事へのリンクです。
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