柳川市 鍛治屋町にある 臨済宗妙心寺派の寺院 天叟( てんそう )寺。

天叟寺境内には戦国時代、豊後国守護21代目・大友宗麟の命で筑前へ赴任、
大友家の重臣・立花( 戸次 )道雪と共に 粉骨の働きをした勇将 高橋紹運
( じょううん )と、その妻 宋雲尼( そううんに )の合祀墓が建てられてます


高橋紹運については、昨年夏の柳川探訪記で少し御紹介させて頂きましたが、
今回は、江戸時代の浮世草子作家にも影響を与えたと噂される

素敵なご夫婦

数回に分け、お話してみたいなと思います。 宜しければお付き合い下さい


宋雲尼の実父は、豊後大友氏20代 義鑑(よしあき)に仕えていた斎藤長実。
斎藤長実( ながざね )は、当主を支える重臣の中でも 政治の補佐や領国支配を
担当するトップチーム 加判衆( かばんしゅう )の一人で、丹生庄( 大分市 )領主を
任されていました。 が、天文19( 1550 )年2月、かねてより主君・義鑑から
実行を迫られていた嫡子・義鎮( よししげ=後の宗麟 )廃嫡に同意しなかった為
謀殺されてしまいます

決起し、クーデター( 大友二階崩れの変 )が勃発。 実の父親を重臣に討たれる
という苦難を背負い 義鎮( 宗麟 )は家督を継承、豊後大友氏21代目当主へ

先哲史料館に鎮座する



当時21歳だった義鎮(宗麟)は、自分の父によって謀殺された重臣・斎藤長実の
遺児・鎮実( しげざね )を不憫に思い、斎藤長実の跡を継がせ、丹生庄の領主を
任せたのでした。 後、天正6( 1578 )年 耳川の戦いで没するまで宗麟に仕え
数々の武功も挙げ、大活躍した侍大将 斎藤鎮実。 これが宋雲尼の実兄です

斎藤鎮実の生年は不詳ですが、大友宗麟と年齢が近かったと云われています。
妹・宋雲尼の実名も定かでなく、呼び名は法名の宋雲院殿花獄紹春大姉から?
さ、続いては、柳川返り咲き王子・立花宗茂の実父としても知られる 高橋紹運。
実家は、豊後( 大分県 )国東半島の吉弘氏で、紹運の実父の名は吉弘鑑理
( よしひろ あきただ )。 大友氏重臣トップチーム 加判衆の一人であり、さらに
その最高峰 豊州三老( 立花道雪、臼杵鑑速、吉弘鑑理 )の一人でした。
国東市武蔵町では毎年7月、南北朝時代から続く 戦勝と五穀豊穣を祈願する
大友氏一族・吉弘氏ゆかりのお祭り “ 吉弘楽 ” が開催されているんです


まだ足を運んだことがないので

映像をお借りしてですけど


吉弘氏は、豊州三老の吉弘鑑理を始め、勇将を数多く輩出しているんですヨ


天正14( 1586 )年、筑前に侵攻した薩摩の島津軍と果敢に戦った高橋紹運は
吉弘鑑理( 豊州三老 )の次男です。 そして、島津軍から立花城を妻・誾千代と
共に守り抜いた立花宗茂( 初代柳川藩主 )は、高橋紹運と宋雲尼の長男。
慶長5( 1600 )年、九州関ヶ原 石垣原の戦いの際、大友家の再興を願い
亡き主君・大友宗麟公の嫡男である 大友義統( よしむね )軍の侍大将として
黒田如水軍に立ち向かった吉弘統幸は、吉弘鑑理の孫で 紹運の甥です。

さて、お話を戻しまして・・・

高橋紹運さんの名前ですけど、まるで出世魚?めまぐるしすぎです

( 自分が )混乱しない様、順を追って控えておきます


天文17( 1548 )年、豊州三老・吉弘鑑理の二男として生まれた高橋紹運の
幼名は 弥七郎。 元服後に主君・大友義鎮( 宗麟 )から一字を貰って
吉弘弥七郎鎮理( しげまさ )と名乗ります。 後に筑前の高橋氏を継いで
高橋鎮種( しげたね )。 剃髪して高橋紹運( じょううん )と号します、OK

高橋紹運さんの人となりは、次回以降ぼつぼつと綴らせて頂く予定の
宋雲尼さんとの婚儀や、師父と慕った戸次鑑連( べっき あきつら=立花道雪 )
そして主君である大友宗麟のために義烈を尽くす姿勢、その優れた働きから
おのずと伝わってくるのではないかなぁ

紹運は饒舌を好まず思慮深く、それでいて勇気もあり、ここぞという時には
怯むことなく自分の意見をはっきりと述べ、敵方さえうならせてしまう・・・
若年にして将としての資質は充分だった様です


永禄10( 1567 )年11月18日に長男・千熊丸( 後の立花宗茂 )が
誕生したことから、高橋紹運と宋雲尼の結婚は永禄8( 1565 )年頃、
弥七郎鎮理( 紹運 )19歳、夫人は16歳ぐらいだったと推算されています。
戦国期にありながら、たとえ短くとも心の通い合う幸せな結婚生活だった事は
間違いなさそう


長くなりました。
この続きは次回にて

紹運と宋雲尼【1】【2】
●参考文献、サイト : 吉永正春著 『 九州戦国の女たち 』
高山由紀子著 『 国東物語~ドン・フランシスコ 大友宗麟 』
おおいた暮らし・国指定重要無形民俗文化財「吉弘楽」国東市
武家家伝 『 斎藤氏 』 『 吉弘氏 』 / 宋雲尼~うたかたの夢
※本文中の下線付き部分は、当ブログ内関連記事へのリンクです。
記事を最後までご覧下さり、ありがとうございます

スポンサーサイト