天正15( 1587 )年6月7日、薩摩の島津義久さんを降参させて九州平定を
終えた秀吉さんは、筑前国( 福岡県北部 )博多の筥崎で論功を行い、配下の
諸将に九州を分け与えます

与えられたのが 黒田官兵衛( 黒田如水 )さんと森吉成( 毛利勝信 )さん。
筥崎の時点では、豊前の3分の2を黒田官兵衛、3分の1を森壱岐守( 森吉成 )
といった、まだ大まかな示され方でした。 同年7月1日、秀吉さんは筥崎を発ち
宗像に宿泊。 翌々日の7月3日に豊前 小倉城に入ったところで、詳しい九州
仕置きを発表

郡、仲津( なかつ )郡、上毛( こうげ )郡、下毛( しもげ )郡、宇佐( うさ )郡の
豊前6郡を。 吉成さんは、企救( きく )郡、田川郡の豊前2郡を拝領します

森吉成さんは、文永年間( 1264年~1274年 )に緒方氏が築城した小倉城へ。
黒田官兵衛さんは天慶5( 942 )年に源経基が築いた事にはじまる馬ヶ岳城へ、
それぞれ秀吉さんの命令を受けて入ります。 しかし、紫川河口の小倉城とは違い
標高216mの馬ヶ岳山頂に在る山城は何かと不便

中津の地を選ぶわけですが、その前に入ったお城が宇佐の時枝城



豊前・時枝城址の場所は、とても分かり易いです


豊前・高森城址から駅館( やっかん )大橋を渡り、県道629号線を西へ暫く走ると
右手に糸口郵便局


交差点手前に建っている宗像医院の看板の先を入って下さいネ




黒田官兵衛さんが豊前6郡を拝領した当時、時枝城は土豪の時枝武蔵守さんの
お城でした。 が、秀吉さんの九州平定に最初から協力的だった時枝氏は、快く
官兵衛さんを迎え

黒田官兵衛の与力として、検地後に1千石を与える取り決めを交わし立場を尊重。
懐柔策を穏便に運んでいくところは、さすが軍師・官兵衛さんという感じです



時枝武蔵守( 平太夫鎮継 )さんは、ほどなく黒田官兵衛さんの家臣となり
関ヶ原後に黒田氏が福岡へ栄転の際には、時枝城を廃して、従った様子


「 如水様になら、わたしは代々の城を棄てても、生涯お仕えしたい

後藤又兵衛さんと同じぐらい、時枝武蔵守さんも、もしかすると
いつの間にか如水公の人となりに、すっかり惚れ込んでいたのかも・・・

官兵衛さん( 黒田如水 )は心ある稀代の策謀家だった事が、時枝城の石碑裏に
記された時枝武蔵守さんの行動から、またひとつ裏付けられた様です

天正15( 1587 )年7月3日、秀吉さんから豊前6郡を拝領した御年42歳の
黒田官兵衛孝高さんは、秀吉さんの命で時枝城時代より検地( 領国経営 )を
始めますが、これについても官兵衛さんは、村々へ検地奉行を派遣して きっちり
土地面積を測らせる丈量検地では無く

申告制( 差出し検地 )を行います。 「 お百姓さん、わたしは豊前の土地を
熟知されている貴方がたを信頼しますから、宜しくね

きゅうきゅうに搾り取る事は避け、良心の範囲内でのゆとりを許したんですね

黒田如水公が家臣だけでなく、領民からも親しみを持って尊敬されていた事が
頷けます

残念でならないのですが、人心掌握に少々自惚れがあった官兵衛が、秀吉さんの
想定外の言動によって自身の甘さに気づき、ツケを払わされた、とも言えそう...


一方、黒田官兵衛さんと共に豊前を拝領した森吉成( 毛利勝信 )さんは、
本領を黒田官兵衛に与えられた上に無茶な転封を命じられた事で 秀吉さんと
対立してしまう豊前の地頭 宇都宮氏17代・鎮房( しげふさ )さんを庇います。
天正15年7月9日、森吉成さんは自分の領地の一部・田川郡赤郷の三ヶ村
( 白土・柿原・成光 )を宇都宮鎮房さんに預け、秀吉さんの怒りが収まるまで
そこで暮らすよう勧めたりと、宇都宮氏一族が最悪の結末を迎えない為に奔走した
これまた如水公にも負けず劣らず心ある立派な戦国武将さん、人格者だった様

森吉成さんは、関ヶ原では西軍に付いたために改易、肥後へ追放されますが、
吉成さんに恩義があった東軍の山内一豊さんによる助命嘆願が叶い、
その後は土佐で厚遇されたそうです

恩義と云うのは、敵方であるにも関わらず、山内一豊さんの妻・千代さんを
助けたんだそうですね、吉成さんは・・・


さて、宇佐市の時枝城まで来たら、中津市はすぐそこ。
・・・となれば行くしかないでしょう


このお城へ



最近は、ニャンコに接近しても


ワンコ

ニャンコ


相方からは、まーりたんの背後のお侍さんの中に、猫好きが加わったんやろうと
冷静に云われる始末・・・。 そうなのかしら



そういうことで、次回は秋深しの中津からお届けしまーす


●参考サイト・文献 : ウィキペディア森吉成( 毛利勝信 )
小和田哲男著 『 ミネルヴァ日本評伝選 黒田如水 』
※本文中の下線付き部分は、当ブログ内関連記事へのリンクです。
記事を最後までご覧下さり、ありがとうございます

スポンサーサイト