JR田主丸駅 カッパ駅舎2階の資料室で、筑後川の河童に纏わる伝説を幾つか
読みました そのひとつ 『 ふるさと伝説探訪・河童と水縄の話 』 には、
田主丸駅裏、久大本線沿いの地区の名 “ 水縄 ” の由来が書かれていました。
水縄と言う地名は、その昔、筑後川の支流・巨瀬( こせ )川が梅雨の大雨で
氾濫した際、「 初なりの胡瓜や果物をいつも川に流してくれる御礼です 」 と
河童たちは川藻で長い長い水縄を編み、それを命綱にして、田主丸の村人を
耳納( みのう )山麓の安全な場所まで避難させた伝説に起源している様です
しかし、長くて丈夫な水縄を編む為に、河童たちは川底の藻を全て使ってしまい
それから十数年の間、巨瀬川は “ もへ( 藻が生えない ) ” 状態だったそう。
河童と村人とが互いを認め、助け合って暮らしていた時代を物語る “ もへ ” は、
巨瀬川で元気に泳ぐ子どもを指す言葉となり、今も田主丸地域に残っています
それでは、河童目線で対岸の新馬場橋・南側の袂に上陸
凧揚げをしたり愉快に遊ぶ河童たちの壁画は、この先に見える中央橋まで続き、
手前の石段を登った場所は九千坊本山・河童たちの集会所です
九千坊本山には河童の神様を祀った 九十瀬入道鎮魂の為の祠があります。
九十瀬入道とは、巨瀬川の蛇淵で暮らしていた平清盛の化身と伝わる河伯
( かっぱ )の事で、川の殿様であり水神様です 河童とは別らしいんですね。
かっぱ駅舎2階・河童資料室の 『 菊池家系譜考~田主丸町郷土会資料 』
によれば、久留米市 瀬ノ下の水天宮祭神は、寿永4( 1185 )年2月に長門
壇ノ浦の戦いで滅亡した平家一門の安徳天皇、生母の健礼門院、平清盛の妻
平二位尼時子と、別天神の天御中主神。 平清盛は九十瀬入道となって巨瀬川の
蛇淵に棲み、妻に会う許しを 九千坊に請い、年に一度の面会を許されます
九十瀬入道河伯が妻に会うため、田主丸を流れる巨瀬川の蛇淵から、
瀬ノ下の水天宮へ向かう時に、筑後川は逆巻き、洪水になるという事です
それじゃ川岸の石段を登って、河童大明神様に御挨拶に行きましょうか
祠は廃墟のレンガ壁奥に鎮座しています。 あら、祠の扉が開いてるワ
河童大明神さんは、九十瀬入道の鎮魂のほか、善男善女がお願いすれば
商売や病気、いじめのいずれにも勝つご利益を下さるそうですよ
今日は祠の扉が開いているので、オープンマインドモードなのかしら?
ここはひとつ大きな声ではっきりと、時には神様におねだりしてみようかな
祠の正面は大木が根を張り、踏みつけて近づくのは心苦しいので
ズームで一枚だけ、撮らせて頂きますね、河童大明神さん
河童大明神の大祭日、毎年8月8日には、町内の河童たちがここへ集まって
それは賑やかなお祭りが催されるんですって この場所から眺めていると、
木の枝に腰かけてカジカみたいな声で歌ったり、廃墟のレンガ壁にもたれて
気持ちよさそうに酔いつぶれる河童さん達が、なんとなく想像できてしまう
田主丸かっぱ駅舎2階の資料室で読んだ 平成8( 1996 )年8月28日号の
読売新聞 『 行く夏の妖怪譚 』 では、河童は清流の象徴であり、民俗学の
研究者の間では、河童を龍や水妖の蛇と同じく、水神の裔として論じていて、
実際、福井県の九頭竜川では、上流の鉱山からカドミウムが流出していたのを
河童が現れて報せてくれたという話が、現代民話考に収められているそう
膝を抱えたコチラの河童くんは、巨瀬川の北を流れる ひばり川にいる子で、
昭和28年の大水害の後に造られたと伝わります。 ちょっと年季が入り過ぎて
いるせいか、近づいても直ぐに河童の像だとは判り辛いのですが、彼がここに
鎮座して以降、田主丸地域では大きな水害は起きてないのだそうです
河童の祠がある新馬場橋の河童壁画は、この中央橋まで続いてます
田主丸には、仁徳天皇の時代にまで遡る元祖・河童伝説が残っていますが、
大体は室町時代に登場し、日本各地で語られる様になるのは江戸時代。
『 夜窓鬼談 』 にはこんな話が 筑後柳川藩士の妻が寺へ参詣した時に、
途中の茶店に美童がいて、盛んにあいさつをする。 無視して寺へ入ると、
またやってきて、今度は手をとろうとする。 挙句は屋敷にまで現れたため、
主人が怪しみその手を切り取ると指が三本。 ほどなく河童が手の返却を求め
謝りに来て、御礼に秘伝の接骨法や、はり薬の製法を教えたという話・・・。
人間の女性に恋しやすいのが、河童くんのウィークポイントでもある様ですネ
中央橋、南側袂の 田口長衛門河童遭遇の碑。
この場所にも柳川藩士の話に似た 河童切傷全創膏の伝説が残ってます
心を寄せずにはいられない、愛すべき河童たちの気配が感じられる不思議な
場所や御紹介したい伝説はまだ数多くありますが、この辺でそろそろおひらきに
したいと思います。 お付き合い下さった皆様、本当にありがとうございました
田主丸駅には、24か所の河童史跡が記された“ たのしかっぱめぐりマップ ” も
置いています。 とても分かり易いので、田主丸散策の折には是非ご参考に
楽しく生まる幻影の河童たち、遊べ遊べ。
あなたの出会った河童にどうぞ宜しく・・・では
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