東風吹かば、匂ひおこせよ梅の花・・・




「 大野山 霧立ちわたる わが嘆く 息嘯( おきそ )の風に 霧立ちわたる 」
太宰府天満宮パーキング領収証に書かれてあるのは、てっきり太宰府天満宮に
祀られている天神さまこと菅原道真公の歌かと思いきや、山上憶良さんのでした。
憶良さんといえば、その名は百人一首でも馴染み深い奈良時代のセレブ歌人

この歌は神亀3( 726 )年、山上憶良が筑前守を任命された折り、同じく顕官
( 上級官僚職 )として大伴旅人も九州の大宰府政庁へ赴任しますが、着任後
程なく大伴旅人の奥さんが亡くなってしまい、同僚の悲しみを大宰府政庁の北に
そびえる四王寺山( 大野山 )の風景と掛け、詠んだ反歌( 添え歌 )なのだとか

大宰府政庁とは7世紀の後半、九州の政治・防衛拠点及び、アジアとの外交窓口
として置かれた都府楼。 奈良・平安期には九州最大の都として栄えたそうです。

大宰府政庁跡はここ、太宰府天満宮の駐車場から西へ1.9km、太宰府市
観世音寺4丁目にあります。 この日は時間の都合で訪問できなかったので、
大宰府政庁跡の写真

お借りしたもの。 威厳と云うか、只ならぬエネルギーをムンムンに醸してる気が


さて、山上憶良さんの筑前赴任から170余年が経った昌泰4年( 901 )年の
平安時代前期、同様に都から九州・大宰府政庁へ配された高級官僚といえば、
云わずと知れた学問の神様・菅原道真公。 一流の知識人であり政治家、
和歌のセンスにも幼い頃より秀でていた道真公ですが、やはり何時の時代も
そういう人は焦燥感を募らせた輩につけ狙われ、憂き目を見るのが俗世の常
なんでしょうかね

大宰府政庁赴任は、冤罪を着せられた左遷だったと云われています

甘木ICより再び大分自動車道に乗り、鳥栖JCTから九州自動車道を北上

朝倉市の秋月郷土館に続いて訪れたのは、大宰府政庁へ左遷された2年後に
同地で没した菅原道真公が祀られた太宰府天満宮のある太宰府市です。

太宰府天満宮駐車場から表参道へ向かう途中の宰府一丁目10番地。
地名の太宰府は “ だざいふ ” と読みますが、ここ宰府地区は濁らず
“ さいふ ”と読むらしい


“ だざいふ ” だけど、 “ 大宰府 ” と書くんですよね~、フクザツ


駐車場から宰府( さいふ )地区を通り、右手に西鉄太宰府駅が見えたら
太宰府天満宮の表参道、門前町です



天神さまへ続く参道は狭くはないけれど、参拝者の多さで細道と化してます。
ちょっと通してくだしゃんせ~



表参道に軒を連ねているのが太宰府名物 “ 梅ヶ枝餅 ”のお店。
寒さも手伝ってか、アツアツの梅ヶ枝餅を美味しそうに頬張り、そぞろ歩く方と
すれ違います。 美味しそ~




包装紙の内側にうっすら透けて見えている栞には

詠んだ歌 「 東風吹かば 匂ひおこせよ梅の花 主なしとて 春な忘れそ 」
それに梅ヶ枝餅の起源が紹介されてます。 梅が枝餅は大宰府政庁に流された
道真公の心を慰めるため、浄妙尼という老女が御餅を焼いて差し上げたという
故事に由来。 また、道真公が亡くなった時には、梅の枝とこの御餅を霊柩に
お供えしたとも...



こちらが太宰府名物 “ 梅が枝餅 ”


粒あんを餅米生地で包み、餡子のまわりはもっちりとレア風、
外側は香ばしく焼きあげられた、手のひらサイズの大判焼き餅です

かなりのボリュームだけど、甘すぎず素朴な味わい。 ペロリといけちゃいます

山上憶良さんの歌にも登場する大野山の解説板を読みながらモグモグ。

後に毘沙門天など甲冑姿で四方位を守る勇壮な神様達・四天王が祀られた
ことから、大野山は四王寺山とも呼ばれるようになったのか...

7世紀半ば、大宰府の守りとして大野山に築かれた大野城跡


16世紀の戦国時代には、まさに北を守る四天王さながらの勇将で大友家家臣
高橋紹運さんの岩屋城があったのも確か、この大野山じゃなかったかしら

鳥居の向こうに見えてる山かな? いや、もう少し左か・・・。

太宰府天満宮の境内へ繋がる表参道脇には、

頬張りながら、ひと休みできる 斜机状の現地解説板が設置されています

( 勝手に用途を決めるニャ


表参道に建つ最後の鳥居



右手の総合案内所で、境内の案内図が掲載された無料パンフレットを頂き、
続いては太宰府天満宮の本殿へと進んで参ります


小早川隆景公など、名だたる戦国大名ゆかりの建造物、そして太宰府を崇め
境内に庵を構えて暮らしたこともある黒田如水公のエピソードなども交えつつ
稚拙ながら、道真公が祀られた太宰府天満宮をご紹介させて頂く予定です。
宜しければ次回もどうぞお時間の許す限り、散策気分をお楽しみください

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梅が枝餅って、思わず、梅味?って思いましたが、違うんですね~!もちもち&あずきって、大好きな取り合わせです♪この時期、あつあつをほおばりながらって、かなり美味しそうです♡