大分県の国東( くにさき )半島沖に浮かぶ周囲17キロの 姫島( ひめしま )。
豊後大野市と臼杵市に伝わる般若姫伝説では、真名野長者夫婦の愛娘
般若姫が、池辺皇子( 後の用明天皇 )の元へ嫁ぐ際に立ち寄った島として
登場し、以来この島は姫島と呼ばれる様になった、とされてます

まーりたんは最初にこちらを知ったもので、姫島の名前は伝説の背景となる
古墳時代の6世紀頃に付けられたものだろうと思っていたんですが、現地
姫島では、更に時を遡ること何と神代の時代


イザナキとイザナミの兄妹神が12番目に生んだ女島( おみなしま )が姫島で、
その名は日本書紀に登場する比売語曽( ひめこそ )の神に由来するのだそう


( この画像は姫島村役場 水産・観光商工課発行 『 大分県 姫島村 』 パンフレットより拝借 )
『 姫島のあたりにならぶ島もなし、うべもいひけり天一根 』
天一根( あめのひとつね )は女島の別名でもある事から、上記の古歌や記紀に
裏付けされてる様子。 実際に現地を訪れてみると収穫が多いですネ、ほんと




ちょっと前に大分駅構内の観光案内所で入手したんですが、国東の伊美港、
姫島港にも置いてあります。 姫島の名の由来にはじまり、長年大分県人を
やらせて頂いてる まーりたんでさえも知らなかった( 無知なだけ

姫島情報が満載で、今回の姫島探訪を何倍も楽しくしてくれました

手に取った時は、そのシンプル且つスタイリッシュさにも、おぉ


・・・と、ごたくを並べてばかりで、未だ海上を漂っておりますが、姫島港を目指す
第一姫島丸の甲板から見えてるのは、中央でくびれて東西に長い姫島の西半分。

ナウマンゾウやオオシカの化石が見つかったそうです

今からおよそ30万年前の、連続する火山噴火によって出来た島なんですって


豊後大野市の原尻の滝など、大分の陸地にも太古の火山噴火によって出来た
景勝地はあるものの、“ 約9万年前の阿蘇山の噴火によるもの ” と云われて
いるので、姫島の30万年前とはケタ違いです

天の沼矛でどろどろの世界を掻き混ぜた後

14の島々の一つに姫島が挙げられていても、当然の様な気さえしてきます

姫島のス鼻では、割って空気に触れさせると中央部分より放射状に青く輝く鉱物
藍鉄鉱( らんてっこう )も見つかっていて、これは動物の化石などから発生する
燐(リン酸)と鉄(砂鉄など)が長い年月をかけて創り出した化合物なんだそうです。
( 藍鉄鉱の画像は 鉱物図鑑Weblio辞書より )

パンフレットの情報から更に調べていくと、最初に藍鉄鉱が発見されたのは
1949年の8月で、発見者は海岸を訪れていた当時の中学生だったとか

全国的にも珍しい藍鉄鉱を、中学生がたまたま見つけてしまうなんて、
何だか子供時代に読んだ冒険物語みたいな話ですけど

姫島西端のス鼻、丸石鼻の海底深くには、藍鉄鉱を生み出すのに充分な
太古の動物たちの化石が眠っていると推測しても・・・どうやら良さそうですネ



関西から大分県の姫島へやってきた主人公の少年が、島の少年と一緒に
太古の化石が生み出す青く輝くふしぎな石

ご存知の方、いらっしゃいますでしょうか?
この本についてのお話は、次回以降にでもゆっくりと

姫島まで20分のはずが、拙ブログでは2日を要しての入港となりまシタ


フェリー乗り場の建物後方から覘いている山は、姫島のシンボルマウンテン
矢筈岳( やはずだけ )。 地下から粘性の強いマグマが噴出したために、
頂に噴火口をつくらないまま固まった複合溶岩ドームなんだそうです。
ソフト帽みたいな優しい形で、温かく迎え入れられた気持ちになります


さて、まーりたんのシルエットはどれでしょう


こんなことばっかしよるけんヒマかかるんや・・・ちゃっちゃといかんね自分に喝。
姫島に上陸後、最初に訪れたのは港から直ぐの南浜公園。

公園の北側には、姫島の発展と村民の為に尽力された姫島村名誉村民
前姫島村長 藤本熊雄氏の銅像がありました。

今回姫島を訪れるまでは、恥ずかしながら藤本氏の事を全く存じ上げなかった
まーりたんですが、御影石の碑文を読む限り


非凡な器量を持ちながら、あえて権威や地位、富を望まず、持てる能力の全てを
地元の為に捧げた偉大な方の様


碑文の終わりには、藤本熊雄氏を讃えると共に、こうした傑人を生み育てたのは
姫島の村民・風土でもある、とまとめられていて、まさしくその通りだと思いました。
銅像が公園の北隅にひっそりと建てられているのは、自分の像が建立されたのを
どこぞで見て恐縮してるかもしれないご本人の心情を推し量っての事でしょうか

藤本熊雄氏の様な方は今も昔も、全国に数多くいらっしゃるんだろうと思います。
たとえこういう形であっても、その一人にまた出会えて幸運でした


そんな姫島の大偉人をよそに、南浜公園の中央にどかーんと鎮座しているのは
国の天然記念物・姫島は観音崎で産出される黒曜石。 断面はガラスの様で
古代は矢じりや石斧の刃など石器材料として大変重宝されていたんだとか。
黒曜石もまた姫島の火山活動、自然がもたらした奇跡の産物です

姫島は瀬戸内唯一の黒曜石の産地です。
鹿児島から大阪にかけての遺跡からは姫島の黒曜石が発見されていて、
往時は西日本一帯に流通していた事が解っています


蜘蛛の巣がかかった様な乳白色の部分が黒曜石


こんな感じに露天した黒曜石で出来ている崖が、姫島の北側にある観音崎。
観音崎には大晦日の夜、債鬼に追われた善人を千人かくまったという御堂
千人堂もあり、姫島七不思議の一か所に数えられています


それでは姫島に一機しかない信号機が青に変わったら

夕暮れまでの姫島歩きにいざ出発


あ、誤解の無いように書いておきますけど、姫島は信号機など導入せずとも
全く問題のない平和な島なんですが、子ども達が島外へ出たときに、
信号機を見たことない!


その為だけにわざわざ一機、港に近い交差点に設置したんだそうです。
これ、ガイドさんからお聞きした本当の話ですヨ

この先もずっと、この教育用?信号機一機で充分な美しい島でありますように

※本文中の下線付き部分は、当ブログ内関連記事へのリンクです。
記事を最後までご覧下さり、ありがとうございます

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2度程行く機会に恵まれましたが、何とも不思議な魅力と、居心地の良さを感じる島です。
七不思議伝説もなかなか興味深いものです。
名物の車海老も美味しかったです!