崖の屏風にダイナミックに描かれた姫島誕生物語 “ 層内褶曲 ” を過ぎて、
更に東を目指していると、左手に何やら立派な祠あらわる




そういえば、姫島には弘法大師さまの祠が88か所ある、と聞きました


灘見大師さま。 本日最初で、姫島で初めて遭遇するお大師さまの祠です。
自転車を降りて、お参りお参り





解説板、ちょっと読みづらいですが


末尾には、『 弘法大師が姫島に来たのは鯖の釣れる時期でした。
あれから鯖は何処へやら 』 何だかユニークです

確かに姫島産の鯖は聞いた事がないけど、姫島近海は海の幸

沿岸漁業だけで島の方々が充分暮らして行ける、全国的にも稀な島なんです

勿論、そうなる迄には姫島の先人さん達の努力があってこそ、なんですけどね

海岸に木を植えて魚が集まる木陰( 漁附林 )を造ったり、密漁船を監視したり、
安易に開発の波に呑まれない賢さと地元愛、優しく強い心を育て、本当の豊かさ
とは何かを全力で、疎まれ憎まれても示し続けた先人さん達の歴史があってこそ。
椋先生が自ら取材されたこうした実話も 『 ふしぎな石と魚の島 』で語られます


“ 松枯れて 魚路とぼしき この島へ 幸恵わかし 大師の御影 ”
椋先生の本では、先覚者は中條石太郎さんですが、9世紀まで遡れば空海さん

調べてみたら、お大師様こと空海さんは惜しいかな


が、幼名は 佐伯真魚( さえき の まお )。 やっぱり大分っぽい

姓は、古墳時代に中央佐伯氏が播磨・讃岐・伊予・安芸・阿波の5か国に設置した
佐伯部 讃岐佐伯氏からの様。 でも、お魚に縁深げな名前。 発想元が気になる


その昔、姫島へ海の幸をもたらし、鯖とともに去りぬ


灘見大師を過ぎると、右手には現在、姫島の基幹産業である車エビの養殖場。
車エビ養殖場の先に見えている岬は、姫島の東端 柱ヶ岳鼻です。
姫島灯台が建つ柱ヶ岳鼻の断崖下には、3つの海蝕洞があるんですけど、
ここからでは、うーん、何となく判るような判らないような・・・



とりあえず、自転車を飛ばせば後ちょっとの柱ヶ岳鼻まで行っちゃいましょう


っと、その前に少し寄り道

左手民家




あら、先客が居ました

なにやら怪しげに喉を鳴らし・・・

申し訳ない、ちょっと前を失礼しますよ~


で、路地を北側へ抜けると、目に飛び込んできた塚らしき物体


こっちにも



ここは、姫島七不思議のひとつ 『 浮田( うきた ) 』です


わけあって大陸から姫島へ逃げてきたお姫様が、自分を助けてくれた恩返しに
島民の方々へ布の織り方や穀物の作り方を教えるんですが、農地を造る際、
誤って大蛇の夫婦が住む池を、雌の大蛇ごと うっかり埋めてしまったんだそう

以後、この田んぼは大蛇の怒りで揺れるんだとか



田を揺らす元気があるという事は、お亡くなりにはなってないんですね、ひと安心。
まーりたんが仁王立ちで浮田を凝視している間は、何故か静かだったけど・・・
まさか、逆に怖がられている


とにかく、まぁこうして島の暮らしを豊かにしたお姫様は、亡くなられた後、
その徳を慕う島民達により、比売語曽( ひめこそ )の神として祀られます。
が、浮田の伝説を知ると、おっちょこちょいなところもあったみたいですネ

かわいいひとだったのかも

また、お姫様は島での暮らしがよほど楽しかったのか、それとも食べ物が
美味しかったのか、随分長生きしたんだそうです


そんなお姫様のお屋敷近くに湧き、元気と美貌を保ったと思われる


『 ふしぎな石と魚の島 』 の中でも、海岸寺の住職さんがそう語っている
鉱泉と名水も、姫島七不思議のひとつになっているんですよ

次回は島東端・柱ヶ岳鼻の姫島灯台と、この岬の七不思議をご紹介します



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